睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠中に無呼吸や低呼吸が1時間に5回以上生じ、日中の眠気等の症状を伴った場合にSAS(sleep apnea syndromeの略)といいます。

無呼吸で窒息状態が起こるたび、脳は「危ない」と判断して短い覚醒が起こります。
このため、睡眠の質が悪化し、日中も頭が重く、猛烈な眠気におそわれます。

仕事中や授業中に居眠りするのはもちろん、集中力もなく、交通事故・労働災害につながることもあります。
この他、夜間の頻尿、起床時頭痛、インポテンツ等の症状も伴います。正常な睡眠がとれないことによって、ホルモンの分泌異常も見られます。

この病気は重大な合併症を引き起こすことも知られています。
睡眠中の無呼吸時に血圧が上昇し、高血圧症、不整脈、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの病気を招くことがあり、寿命に影響するという報告もあります。

SASは、男性の4%、女性の2%に認められるといわれていましたが、最近の報告ではさらに増え、日本の患者数は400~500万人に達するといわれています。決して珍しい病気ではありません。

睡眠時無呼吸症候群の定義

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは、睡眠中に10秒以上の呼吸が停止、つまり無呼吸や気道が狭くなり呼吸が細くなること(低呼吸)が5回以上繰り返される病気です。

自覚症状は昼間の眠気

自覚症状は昼間の眠気

睡眠中多くの人は、顎の筋肉の緊張がとけ顎が喉の方へ下がります。
すると上気道は狭くなります。このために呼吸抵抗は大きくなります。

鼻の通りの悪い人は、苦しいので口を開いてしまいます。
口を開くと空気が入り込み、口の中の圧力が上がり、舌の根本が沈下、同じに軟口蓋や口蓋垂も下垂して空気の通る道がますます狭くなります。

そのような状態にもかかわらず、身体に必要な酸素を確保するため、狭くなった上気道に同量の空気を無意識に通そうとします。
したがって呼吸抵抗は、いやが上にも増し、粘膜を摩擦したり、振動したりして大きないびきとなります。

またこの傾向の強い人はエスカレートして口から息を吸い込んでしまい、喉が乾燥してカラカラになり、粘膜が共鳴して 振動し大きないびきとなり、やがてはこの大きないびきが続くと呼吸が一時的に止まる睡眠時無呼吸症候群(SAS)となります。

睡眠時無呼吸症候群は怖い?

睡眠時無呼吸症候群は怖い?

大きな「いびき」をかく人は、ほとんどの人が口を開けて寝ているので顎が下がり、舌の根元も下がり気道を塞いで閉塞状態になります。
この状態は無呼吸状態で呼吸ができなくなってしまいます。
この無呼吸症状を続けていると、心臓をはじめ脳に送られる酸素が欠乏し、しだいに脳障害をはじめ精神障害など循環器系や呼吸器系などに、機能障害を引き起こす原因になると言われ、突然死も「いびき」が原因の一つと言われるようになりました。

毎年交通事故は増大していますが、その主な原因が、いびきによる睡眠不足にあることも解明されてきています。

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸は、上気道(空気の通り道)が閉塞することにより起こります。
閉塞の原因は、首周りの脂肪の沈着、扁桃肥大、アデノイド、気道へ舌が落ち込む、舌が大きい(巨舌症)、鼻が曲がっているなどがあげられます。

また、欧米人の睡眠時無呼吸症候群の患者さんは肥満の方がほとんどですが、日本人の中には顎が小さい(小顎症)ため、気道がふさがれやすく、やせているのに、SASである方もいらっしゃいます。
ですので、睡眠時無呼吸症候群の患者さん全員が太っていると思うのは間違いです。

どのような症状がでるのでしょうか?

どのような症状がでるのでしょうか?

睡眠時無呼吸症候群はさまざまな症状を伴います。

いびきや夜の睡眠をきっちりとれていないことから、昼間足りない分を補おうとして眠気が発生したり、起床時の頭痛、熟睡感の欠如、睡眠中に脳が覚醒状態になる(中途覚醒)やインポテンツなどがあります。

交通事故の危険性

交通事故の危険性

居眠りは、睡眠不足のため起きる日中傾眠です。
昼間車を運転している時、目を開けたまま瞬間的に寝てしまう現象をマイクロスリープと言い、危険な状況に対応できないばかりか、自ら事故を引き起こす大きな原因となります。
このため危険な状況下に置かれたり、スピードによる危険な状況判断ができません。

この居眠りの原因は、大きな「いびき」による無呼吸症によるものといわれています。
無呼吸症状は苦しいので目を覚まし、半覚醒状態を続けることになり、ほとんど熟睡していないため昼間に睡魔がおそうことになるのです。

このようにいびきは、本人の健康を奪うだけでなく、多くの事故やトラブルに周囲の人達まで巻き込む危険性をはらんで いるもので、すでに病気と言っても過言ではありません。

ある報告には重症の睡眠時無呼吸症候群の方は、飲酒運転よりハンドル操作をミスする可能性があると記載されています。
道路交通法でも眠気を訴える疾患に罹患(りかん)している方の、免許を更新しない・剥奪するという措置がとられることがあります。

睡眠時無呼吸症候群はしっかり治療をしてコントロールすれば、眠気はほぼ消失します。
事故を防止するためにも、専門施設を受診するようにしましょう。